体験者が語る、転職失敗の事例5選

転職ノウハウ
転職ノウハウ転職体験談

転職はキャリアアップのための有効な手段です。特にハイキャリアのビジネスパーソンの中には自社内だけでなく、社外に活躍や成長の場を求め、積極的に検討する方も珍しくありません。

一方で、転職はリスクが高い行動であることも確かで、転職に失敗して後悔している方も少なくありません。今回はこれから転職を検討する方向けに、体験談を踏まえた転職の失敗事例5選と、それらの事例を踏まえた、転職における失敗を回避するためのポイントを紹介します。

失敗談①:転職先が決まる前に退職した

転職先が決まる前に退職する

転職活動中に収入がなかったため、生活費や面接の交通費を補うために貯金を切り崩した。(36歳・銀行)

無給の時期が長引くのが嫌だったので、早く転職を決めなければと焦った。結果、本当に働きたい会社なのかの判断が鈍ってしまった。(36歳・サービス業)

参照:http://aichan6220.jugem.jp/?eid=12

転職活動は書類の準備や面接対策などに時間が掛かる上、面接に行くにも移動などの手間がかかります。転職活動と本業の業務の両立が難しいと感じ、転職先が決まる前に退職する方は珍しくありません。

しかし、実際には本業の仕事がなくなって使える時間が増えることが、転職活動に有利に働くとは限りません。確かに日中の時間を使えるようになることで、より多くの選考を受けられるというメリットはありますが、それ以上に収入が途絶えることによる焦燥感を強く感じる方が多いようです。

日々の生活費が負担になるのはもちろんですが、交通費など転職活動を継続する上で発生するコストがかさんで、貯金を大幅に切り崩してしまう場合もあります。

特に、ハイクラスのビジネスパーソンの場合は、転職先の難易度も高い傾向にあるため、たとえ優秀な人間でもすぐに内定に至るとは限りません。そのような中、焦燥感から本当に入りたい企業かどうかの判断が鈍り、妥協して転職してしまう方もいます。

自分にとってベストな転職を実現するためには、このような妥協は禁物です。特に難易度の高い転職先に挑むからこそ、業は継続して定期収入を維持しながら、長期戦を覚悟してじっくり取り組むのがおすすめです。退職して時間を作るのではなく、本業がある中で転職活動を行うよう、スケジューリングなどを工夫していくのがよいでしょう。

失敗談②:給料・待遇を重要視し過ぎてしまった

給料・待遇を重視しすぎ

給料や待遇に不満を感じて転職活動をし、それを解消してくれる企業と出会い迷わず入社。しかし、前職のほうが、居心地もよく、やりがいを感じながら働けていたような気がして、どうにか前の会社に戻れないものかと悩んでいます。(会社員/27歳)

参照:https://doda.jp/guide/ncase/013.html

仕事にやりがいはありましたが、収入が不満で実力主義のベンチャーへ転職。ところが一度のミスから経営者ににらまれ、年俸が激減。居心地も悪いし、もう辞めたい…。(インターネット事業/28歳)

参照:https://type.jp/s/manual/index01_kiji23_1.html

転職の理由に給料をはじめとした待遇への不満をあげる方は少なからずいます。厚生労働省の2020年の雇用動向調査における転職入職者の動向では、男性において「定年・契約期間の満了」(16%)に次ぐ9.4%の転職者が「給料等収入が少なかった」ことを転職理由に挙げています。

参照:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/kekka_gaiyo-04.pdf

転職する上で待遇面は転職先の判断材料の一つではありますが、給与・待遇面のみを転職理由とするのは、次の二つの理由でおすすめできません。

一つは待遇が良くてもそのほかの部分でミスマッチがあれば、仕事に対するモチベーションを維持するのは難しいということです。基本的には給与・待遇が良いということは何か代償が発生する可能性があります。例えば、高いスキルが要求される、長時間労働であるといったことが考えられます。

待遇だけに目が行くあまり、自身の能力や経験とのミスマッチに気づかずに転職先で苦労する方、実は転職してみると長時間労働や不規則な労働時間に悩まされたといった失敗を経験する方は少なからずいます。仕事内容や職場環境に目を向けて転職先を検討すれば、こうした失敗は避けられるでしょう。

もう一つは、給与・待遇が「聞いていたものと違った」というケース。ハイクラスのビジネスパーソンが狙うような優良企業であれば「基本給自体が面接の時と話が違う」ということはそうありません。一方で、残業代込みの給与体系であるか、賞与の水準が低いなどといったところで、当初期待していたほど年収が出ない場合も考えられます。

待遇を気にしすぎるあまり、細かい差異にも目がいってしまいますが、転職が決まる前に細かいところまで待遇を確認するのは不可能です。そして、そのような転職者を企業は好まないでしょう。

どんなに転職時の待遇を気にしても、2年目以降の待遇がどうなるかはわかりません。仕事内容や社風、労働環境といった転職先の待遇以外の特徴にも目を向け、自身が活躍しやすい魅力的な企業へ転職することをおすすめします。スキルや職場環境がマッチした企業で着実にキャリアを積むことが、結果的には将来の高待遇につながる可能性も十分にあります。

失敗談③:転職先の人間関係に問題があった

転職先の人間関係

前職の先輩に熱心に誘われ、転職を決意。ところが転職先の先輩の評判が良ろしくなく、周りから遠巻きにされている状態で、仕事がやりにくいんです。
(流通業/33歳)

参照:https://type.jp/s/manual/index01_kiji23_1.html

10年以上勤めていた会社で人間関係に行き詰まり、 在職中に転職先が決まり退職しました。 高待遇での管理職扱いで飛びついてしまったのです。 しかし、そこでも人間関係が上手くいかず、また、責任が重く数か月で身が持たず退職しました。(会社員/中高年)

参照:https://jobcatalog.yahoo.co.jp/qa/list/14104849459/

人間関係は、働く上でしばしば問題になりがちな要素です。先ほども紹介した厚生労働省の2020年の雇用動向調査における転職入職者の動向で、女性においては転職の理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」が13.3%と「その他」を除いてトップです。

参照:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/kekka_gaiyo-04.pdf

しかし残念ながら、転職先でも人間関係に悩み、最悪の場合、先に紹介した失敗談のように再度転職を余儀なくされるケースもあります。

日本では大企業を中心に、まだまだ新卒の社員が中心となってコミュニティが形成されているため、転職者というだけで「異端」のような扱いを受ける場合もあります。逆に、転職者が多い職場でも実力主義の風潮が強いことで、社員同士の連携が図りづらいといったケースもあります。そのほかにも、特定の社員が周りに敵を作っていて空気が悪い、社内いじめが発生しているなど、人間関係でのトラブルは様々です。

新天地に行く以上は、人間関係に悩まされるリスクは常に念頭に置いておく必要があります。人間関係の正確な状況は、入社してみなければ把握できません。転職する上での大きなリスク要因であることを理解した上で、それでも転職したいかどうか冷静に考えて行動しましょう。

また、少なくとも自分は嫌われない努力をすることは極めて重要です。人間、第一印象が肝心と言いますが、これは転職においてはとてもよく当てはまります。転職初日から転職先の社員と円滑にコミュニケーションを取れるよう、態度や身だしなみ、表情などに気をつけるとよいでしょう。

失敗談④:社風が合わず仕事が嫌になった

大学院卒の社員が、実務経験の乏しいうちに管理職になり仕事が滞ってしまうような学歴最重視な社風が嫌でした。発想も保守的で新しいことをやりたがらない。世間の常識は守ろうとして建前ばかりで物事を進めるからどこかに矛盾が出てきてしまう。(技術職/30代)

参照:https://baycounty100.com/large-company/

人間関係と同様に転職の失敗談としてしばしば上がるのが「社風」です。特に異なる業種へ転職した場合、大企業→ベンチャーやその反対など、属性の異なる企業へ転職へした方などの場合には、社風が合わなくて転職を後悔するケースがあります。

社風とは会社それぞれの雰囲気を意味するものであり、企業によって様々です。

  • 体育会系の雰囲気が強く、社員の多くがスポーツ経験者
  • 学閥がある、学歴志向が強い
  • 黙々と仕事に打ち込む人ばかりで、交流も少ない
  • 実力主義で皆が業績を意識してガツガツ働く

社風についても、事前に完璧に把握するのは困難な要素ですが、一つは面接を受ける社員の印象を判断材料にする方法があります。面接官の雰囲気や話し振りなどから社風が類推できるでしょう。特に複数人の面接官との会話が合わないと感じた場合には、社風自体がマッチしていない可能性があるので、転職の判断は慎重に行うことをおすすめします。

また、クチコミタイプの転職情報サイトをチェックするのも一案です。オフィシャルな転職エージェントや転職サイトの情報では、社風まで把握するのは困難ですが、クチコミには実際に働いているもしくは働いていた社員のリアルな声が書かれます。書かれていることが真実である保証がない点は注意が必要ですが、社風を推し量る材料となるでしょう。

失敗談⑤:スキルが足りない、合わないため活躍できない

スキルが足りない

面接で背伸びをして転職に至り、入社後、後悔する羽目になってしまった。実際に業務を任されてみると、わからないことばかりで、上司や同僚に余計な負担をかけることになってしまった。(経理/28歳)

参照:https://www.r-agent.com/guide/article1418/

スキル不足やこれまでの経験との不一致が転職の失敗に繋がるケースもしばしばあります。転職活動中はどうしても「転職先を決めること」に意識が行ってしまいがちです。その結果、面接時には経験や実績を大きくして話してしまったり、出来ないことでも「出来る」と答えてしまったりして、スキルのない領域の仕事で内定を獲得してしまう方もいます。

内定を得た瞬間は、「実力以上のハイクラスな転職を成功させた」と嬉しくなりますが、実際に転職した後には、自身のスキルと企業の要求レベルのギャップに苦労することになります。不幸にも転職先の教育制度が弱く、キャッチアップの機会が与えられない場合には、キャリア形成に大きなダメージを負うことにもなりかねません。

スキルのミスマッチを避けるためには、まず応募先を厳選することが重要です。多くがポテンシャルで採用される新卒採用なら、ある程度の数を応募して当たりに行くのも有効策でありますが、経験が求められる転職では安易に応募先を広げるのは得策ではありません。

自分のスキルや経験値を踏まえて、転職後も活躍できる企業を厳選して応募することが大切です。そしてそのためには、募集要項や転職エージェントとの面談で、企業に関する情報収集をし、自分が応募する上で適した企業をうまく選び出していきましょう。

もう一つは大切なことは、面接において「実力以上のことを話さない」ことです。面接官からの印象が良くなるように丁寧かつ自信を持って話すことは大切ですが、できないことはできないと言う勇気も必要です。さもないと、例え面接の場で相手を納得させられたとしても、後で自分が後悔することになります。

まとめ

転職活動のリスク

転職はキャリアアップの有効な手段である一方でリスクの高い行動であることを忘れてはいけません。今回紹介したような数々の失敗例があり、再転職を余儀なくされたり、自身のキャリア形成にネガティブな影響を及ぼしたりする場合があります。

そのリスクを取ってでも転職すべきか今一度よく考えた上で、それでもチャレンジする場合には、事前の情報収集を万全に行なった上で、自分のスキルや経験が確実に活かせる企業を厳選し、応募することが大切です。

そして転職先が決まった場合には、少しでも早く職場に馴染めるように、社員との接し方にも気を配るのが大切です。自ら積極的に良好な人間関係を築くことが、転職後のトラブル回避にもつながります。

今回の5つの失敗例に陥ってしまうことのないよう、自分にとってのベストな転職先を慎重に判断し、転職を実行することが大切です。

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