【転職ルート】他業種から総合商社への転職はできるのか?求められるスキルと経験とは

転職ノウハウ
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総合商社は報酬水準の高さや規模の大きいビジネス、社会的意義の大きいビジネスに携わるチャンスが豊富にあるとの見方から、ハイクラスのビジネスパーソンに人気の転職先の一つです。

同時に転職難易度の高い業種の一つでもあり、特に他業種からの転職は難しいと考えている方も少なくありません。

確かに総合商社はいくつかの理由で他業種からの転職難易度は高いといえますが、全く不可能ということはなく、実際に他業種から総合商社への転職を実現する方も決して少なくありません。

そこで、この記事では他業種から総合商社へ転職する場合の求められるスキルやポイントについて解説していきます。

他業種からの総合商社への転職が難しい背景

他業種から総合商社へ転職するのは確かに難易度が高いといえます。

そもそも総合商社の中途採用が少ないことや、人材のレベルが高いこと、そして高い専門性が要求されることなどがその背景にあります。

総合商社は中途採用が少ない

総合商社は投資銀行やコンサルと異なり、ほとんどの企業が日系企業です。そもそも英語でも「Sogo Shosha」と訳させるケースもあるように、総合商社は日本独特の業種といえます。

したがって、総合商社の多くは「日本の大企業」の一般的な傾向を持っており、新卒採用者を中心として組織が組まれています。

そのため、同じくハイクラス人材に人気のある投資銀行やコンサルなどと比較するとそもそも中途採用の機会が限られているのです。

限られている転職案件を総合商社の経験者と競い合うわけなので、必然的に他業種からの転職難易度は高くなります。

総合商社の人材レベルが高い

総合商社は転職だけでなく新卒採用の現場でも人気の職種です。

その年の雇用市場によって多少の差はあれど、基本的に厳しい競争を勝ち抜いた精鋭がそこで働いています。

特にハイクラスのビジネスパーソンが目指す五大商社ともなると、学歴が高いのは当然で、それ以外にも秀でた一面を持つ人材が多数在籍しています。

あえて商社ビジネスの未経験者を採るとなると、そういった人材と比較しても魅力的に映るほどの人材でなければ、他業種からの総合商社への転職は困難です。

このように比較対象となる商社の社員のレベルが高いということも総合商社への転職難易度を押し上げている要因となっています。

ビジネスの専門性が高い

総合商社は大きな組織で、ほとんどの企業が取り扱う商材・サービスごとに部署が分かれています。それぞれの部署には担当する商材・サービスのスペシャリストが在籍しています。

企業全体としては多様なビジネスを手がける総合商社ですが、社員それぞれは高い専門性を有しているのが総合商社の特徴です。

したがって、転職する場合には、既存社員と比較して上回るほどの高い専門性を備えている必要があります。

他業種からの転職となれば、商社ビジネスとしての知見はまだないはずなので、その分特定業種の市場やビジネスに対する深い知見や豊富な経験が要求されるのです。

この条件を満たす人材は、いくらハイクラスのビジネスパーソンといえど限られているため、他業種からの総合商社の転職難易度は高いのです。

総合商社への転職に求められるスキルと経験

転職難易度の高い総合商社ですが、やはり他業種からの転職に成功している方も少なくありません。

そうした方は次のようなスキルや経験を強みに、商社未経験であるというハンデを克服しています。

特定業種や業界のビジネスにおける専門性

特定の業種や業界のビジネスに深い知見や豊富な経験を活かして、総合商社に転職できるケースがあります。

総合商社はさまざまな業種に関わるビジネスをおこなっているので、他社での専門性を活かす機会は充分にあります。

特定業種や業界の専門性を活かして転職する場合には、特に次のような特徴を持っていると高く評価されやすいでしょう。

  • 営業や商品開発など企業の「商材」を実際に扱う部署である
  • 新商品の導入や事業の大幅な拡大など、企業のビジネス拡大に貢献している、もしくはしたことがある
  • マーケティングやリサーチなど、特定市場に関する深い知見を有する業務をおこなっている

以上のような経験をもとに、商社の同じビジネスを扱う部署の既存社員より秀でたものがあると認められれば、たとえ他業種でも転職の可能性は充分にあるでしょう。

新規事業開拓プロジェクトやM&Aの経験

業種の専門性に関係なく、新規事業開拓の経験があるビジネスパーソンは総合商社への転職において強みを発揮します。

総合商社は基本的に既存ビジネスの維持+新規ビジネスの掘り起こしを常に追い求めることで、高い収益性を維持するビジネスモデルです。

事業の難易度は個々のビジネスによって異なるものの、企業成長のためには、やはり新規ビジネスの開拓ができる人材へのニーズは高いといえます。

そのため、たとえば商社以外でも新規事業を開拓し、自らの手で軌道に乗せた実績のある人材は、高い採用ニーズがあるといえるでしょう。

また、総合商社では、新規ビジネスをおこなうためにM&Aで他社を買収するという手法も頻繁に実行されます。したがって、M&Aに関するビジネス経験を持つ人材も、他業種でも総合商社への転職のチャンスは豊富にあります。

高い語学力とクロスボーダービジネスの経験

海外とのビジネスが非常に多い総合商社では、いうまでもなく高い英語力が求められます。

ただし、ハイクラスのビジネスパーソンともなればただ「TOEIC○点以上」なら有利ということはなく、むしろ高い英語力は転職を実現するための必須要件の一つとなります。

一方で、英語力を活かして海外とのビジネスをおこなった経験などがある場合には、有利に働くと期待できます。

特に海外企業と交渉をおこなって新しい取引を開拓した、海外子会社のマネジメントをおこなったなど、ネイティブとも渡り合えるほどの高い英語力が求められる業務経験があれば、転職活動においては有利です。

また、「英語+α」のトライリンガル以上の方は、それだけで有利に働くことも期待できます。

ハイクラスのビジネスパーソンといえど、英語以外の第三言語を習得している方は多くありません。

近年では経済成長著しい中国語などが堪能であれば「語学力」を活かして総合商社への転職を実現させる余地も充分にあります。

他業種から総合商社への転職を成功させる方法

ここまで紹介した総合商社に求められる経験やスキルを踏まえて、総合商社への転職を成功させる方法を3つのパターンに分けながら紹介していきます。

特定の領域で秀でた実績がある人はマッチする総合商社の求人を探してトライ

総合商社にとってニーズの高い経験やスキルを持つ次のような方は、他業種からでも総合商社に転職できる可能性は充分にあるでしょう。

  • 現職の業種について100%語れる自信があるほど高い専門性がある
  • クロスボーダー案件や海外でのビジネスに豊富な経験がある
  • M&Aディールや新規事業開拓を主体的におこない成功に導いた経験があるetc.

あとは、これらのタイプに属する方にとって重要なのは「自身の経験・スキルとマッチする求人」を選び出すことです。

総合商社に限らずハイクラスの中途採用は専門性を活かした即戦力人材を求めているので、自身の専門性とマッチした部署や業務に関する転職案件かどうかで、合否の結果は変わります。

必要に応じてハイクラスの転職エージェントなどとも相談しながら、自分とマッチする転職案件を見つけ出し、チャレンジしていくとよいでしょう。

専門性に自信がない場合は、商社子会社や専門商社を経る方法も

特定業種のビジネス経験がある、英語力もそれなりにあるが、総合商社への転職を勝ち取るには力不足と感じる方は、商社子会社や専門商社へ転職して、商社ビジネスの専門性を培ったうえで総合商社へチャレンジするという方法もあります。

総合商社はそれぞれの業種などを切り出した数多くの子会社を傘下に抱えています。これら子会社も総合商社の本社と同様に中途採用をおこなっているケースも少なくありません。

ビジネス領域が限定される分、本社よりも専門性の要求レベルが高くなかったり、他業種からの転職でも転職しやすいケースもあります。

また、商社には五大商社に代表される総合商社のほかに特定業種の商材を専門的に扱うさまざまな専門商社があります。

特定業種に詳しい人材を多く求めている専門商社ならば、総合商社ほどの秀でたビジネス経験がなくとも高く評価されるケースも少なくありません。

いずれにしても総合商社ではなくとも「商社」であることには変わりないため、入社すれば商社のビジネスモデルを理解できます。

自分の専門性×商社ビジネスの理解を深めたのちに、改めて総合商社にチャレンジするというのも一案です。

専門性がないと感じる場合は専門性を磨く部署・企業へ移る

現在の仕事が人事などのスタッフ部門である場合などは、そもそもその企業が本業とするビジネスの専門性を培うのが困難です。

もちろん総合商社の人事・経理など本社スタッフへの転職という道がないわけではないですが、それは「総合商社のビジネスに携わりたい」と考えている方からすれば、期待とは異なるキャリアとなるでしょう。

このようにそもそも特定業種や領域の専門性が不足している場合には、ポテンシャルで採用される余地のある第二新卒でもない限り、商社への転職は容易ではありません。

したがって、やや遠回りに感じるかもしれませんが、まずは自分なりの専門性を磨く必要があります。

今の企業に留まるのであれば、営業、商品開発など、その企業のビジネスを担う部署へ異動するのがよいでしょう。

もしくは新規ビジネスの開拓をおこなうプロジェクトなどに参画するのも一案です。もしくはM&Aや、新規事業戦略などを経験できる業種に転職する手法もあります。例えば投資銀行やコンサルなどならば、これらの経験を培うことが可能です。

他者より圧倒的に秀でていると自信を持てる領域を培った上で、あらためて総合商社への転職にチャレンジするのがおすすめです。

他業種からの総合商社の転職では専門性が鍵に

他業種から総合商社へ転職する場合には、現職までで培われた専門性を厳しくチェックされます。

業種としての専門性や海外ビジネスの専門性、新規事業開拓やM&A経験などの専門性など、商社ビジネスに役立つ専門性を持っている方は、たとえ他業種からでも総合商社への転職を充分に実現可能です。

今回紹介したように、自分のキャリアを振り返って、専門性に強い自信があるのであればマッチした総合商社の求人案件を探してみましょう。

また専門性をもう少し高めたほうがよいと感じるのであれば、商社子会社や専門商社への転職、もしくはより専門性を高められる部署や企業への異動・転職を経るのが有効です。

この記事を参考に自分の専門性を確認したうえで、それぞれに合った行動を取り、ぜひ他業種からの総合商社への転職を実現させてください。

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