【人事部長コラム】選考ではここをみられている!?事前準備しておくべき4つのこと

人事部長コラム 転職ノウハウ
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採用面接をしながら「もったいないなあ」と思うことがある。

私はこれまで約20年間で5社の人事を経験し、現在は上場企業で人事の執行役員を担っている。これまで数千人の方々の採用面接をしてきたが、最近、面接で「もったいない」と感じるケースが多くある。とてもポテンシャルがありそうな方なのに、その「良さ」がうまく表現されていない。こちらから引き出そうとしても、受け答えがずれて、良いところが見いだせず、不合格になってしまう。

これはどういうことか?

面接を受ける皆さんが面接でどのようなことを伝えればいいかについて、正しく認識されていないことが要因ではないだろうか、という結論に至った。つまり、選考の場で、何が見られていて、どう伝えていくのが良いかが、理解されていないということだ。

本コラムでは、そういったミスマッチを減らすべく、主に面接を中心とした選考プロセスで何を伝えればいいのか、についてまとめて皆さんにご提示したい。

採用する側は人材要件をどのようにすり合わせているのか

まず、採用募集がどのようなプロセスでなされるのか、企業側の事情をみてみたい。

なお、採用計画がたてられる手順は、日系or外資、企業ステージなどによって大きく異なる。あくまで筆者がこれまでの経験してきた一つの例として参考にしていただきたい。

大まかには下図のようなプロセスになる。

採用募集が開始されるプロセス

まず、事業計画に基づいて人員計画が立てられる。その計画と組織構成に基づいて、必要な採用ポジションが具体的に確定してくる。具体的な採用ポジションが固まれば、そのポジションに求められる要件について、事業側と人事側ですり合わせて、いよいよ採用活動がスタートする。具体的に採用ポジションが決まる段階では、

  • どのような業務内容、役割、責任を持つ業務に携わるポジションなのか
  • その業務を担うために、どのような知識、スキルが求められるのか
  • そのためにどのような経験が必要で、何年くらいの経験があるべきか
  • どのような企業での経験があるとよいか

といった採用要件についてすり合わせがなされる。特に私は具体的なイメージを事業側とすりあわせるために、採用の可否に関わらず、ポジションにフィットすると考えられる特定の人物を挙げてもらうことをする。そうすることで、お互いのイメージをより具体的なレベルで言語化し、すりあわせることができるからだ。例えば、「〇〇社に勤めている〇〇さんという人がいて、彼は〇〇というスキルを有していて、その十分な経験がある」というようなことである。


その上で、実際の採用活動において、各転職メディアの応募者、転職エージェントからの紹介やダイレクトリクルーティングなどを通じて、書類選考、面接などで選考を進めていくことになる。

採用プロセスで確認される4つの「どんな〇〇」

では、次に私が採用プロセスで必ず確認する4つのポイントについて触れたい。

採用プロセスで確認される4つの項目

採用選考で確認されるポイント①「どんな経験をしてきたか」

第一に、どんな「経験」をしてきているか、は重要なポイントである。

言うまでもないポイントであるが、この観点で既にずれてしまっている人が多くいる。それは、こちらが「知りたい」経験と、候補者の方が「伝えたい」経験がずれている、ということだ。


特に、レジュメを確認する書類選考や一次選考のフェーズでこの観点は意識しているのだが、そもそも現在求めているポジションの要件に合致する経験ができているのかどうか、ということがレジュメを通じて容易にわからないケースが多々ある。

要件に応じて、必ずしも、等しい経験を有している必要はないが、読み手が理解できる用語、表現で経験をレジュメに具体的に記載することが重要だ。特に社内用語を多く記載されてしまい、本来であれば必要な経験をしていても、それが伝わらないケースもあるので、注意すべきである。


大事な視点は、壮大なことを経験していることではなく、企業が求める要件に合致した経験をしているかどうか、である。

採用選考で確認されるポイント②「どんな実績をあげてきたか」

2つめのポイントは、その経験のなかでどんな「実績」をあげてきたか、である。

特に、ミドルからシニアの面接のプロセスで最も重視しているのはこの項目だ。これまでの経験のなかで、具体的にその人があげた成果について、確認をさせていただく。

この時に、成果として大きなプロジェクトを例に出されるケースもあるが、関わった仕事の大きさよりも、そのなかで、どのような役割を担い、どのように計画し、どのように実行したのか。その観点できちんと説明できることがより重要である。

こちらとしては、新たな仕事においても再現性高く成果をあげることができる人なのかどうか、を確認したいのであって、募集領域で必ずしも成果をあげている必要はなく、逆に同じ領域であっても、その人が関わった成果が十分に見いだせない場合は、当該ポジションとしてのフィット感が感じられなくなってしまう。


きちんと、自分自身の成果を自分の言葉で語れるようにしておくことは重要だ。

採用選考で確認されるポイント③「どんな価値観で働いているか」

3つめは、どんな「価値観」で仕事をしているか、というポイントにも着目する。

例えば、「〇〇というケースになった場合、あなたはどういうアクションをとりますか?」という質問や、「入社をした場合に最初の一か月でどのようなことに取り組みますか?」という質問を投げかけることがある。

これは、特定の場面でどのように具体的にアクションをとるか、ということから、そのアクションの背景にある考え方や仕事への向き合い方を見出すことを意図している。そうすることで、会社の価値判断基準、企業文化とのマッチ度をある程度想定することができるからだ。その企業の文化は事前にリサーチをしたうえで、いつもの自分の判断軸は意識して、面接の場でも誠実に回答をしていただきたい。

採用選考で確認されるポイント④「どんなキャリア観を持っているか」

最後のポイントとして、どんな「キャリア」を歩んでいきたいか、をクリアにすることだ。

もちろん、このポイントそのものは転職時の業務とは直接の関係はない。しかし、中長期目線で、会社での経験を積んでいただこうとした時に、どのようなキャリアを考えられているのかは採用側はあきらかにしたい観点だ。

少なくとも5-10年は一緒にキャリアを歩んでもらおうと考えた際に、その方が将来何を成し遂げたいと考えているのか、その方向性が会社として支援できるのか(もしくは会社の成長の方向性と一致しているのか)は十分考慮すべきと考える企業は多いだろう。もちろん、必ずしもその通りのキャリアにはならないという前提で、5-10年のキャリアのイメージは語れるように準備しておきたい。

自分の成し遂げてきたことを言語化し「伝える」観点が重要

自分を言語化し、伝える視点

冒頭の「もったいない」と感じる面接を通じて、何が候補者の方と企業側でずれてしまっているのか、という観点から、人事部門の責任者として、いつも重視している観点を述べさせていただいた。

このようにまとめてみて、感じることは、まずは、自分の強み、経験をしっかりと「言語化」されてみるのがいいのではないか、ということと、それを相手に「伝わる」ように表現をしてみるということだと思う。

どのように成果を上げてきたのかが「言語化」できて語れるということは、しっかりと自己認知できており、再現性が期待できるということでもある。また、一貫して語ることができることで、面接官には力強い印象をつけることもできるだろう。

そして、どんなに力強い言葉であっても相手に伝わらなければ、全く意味がない。
面接はコミュニケーションの場である。相手に「伝わる」を意識して、面接の場には是非望んでいただきたい。
そして、このコラムが読者の次なる素晴らしいキャリアにつながる一助になれば、ありがたい。

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