大学卒業後に志望していた企業に新卒で就職し、先輩や同僚とともにさまざまなプロジェクトを進めていきながらも、更なるキャリアアップを目指して転職を考える方も少なくないでしょう。
新卒入社した企業は、あくまでも次のキャリアへ進むためのファーストステップだと捉えている若手社会人も増えてきています。
ではキャリアアップを目指したい時は、どのように転職活動を進めればよいのでしょうか。また転職活動を効率よく進めるために活用したい転職サービスは?
この記事では、現職で培ったキャリアや実績を活かし、さらなるキャリアアップが臨める企業への就職を成功へ導くハイキャリア層向けの転職サービスをご紹介します。
2020年の転職事情
まずは昨今の転職市場について見ていきましょう。
総務省統計局が2021年2月に発表した労働力調査によると、2020年の1年間の離職経験者は596万人、うち転職者は319万人。
転職者のうち15歳~24歳が59万人、25歳~34歳が73万人と合わせて132万人という結果が出ており、20代~30代前半の転職者が全体の約4割を占めていることが分かります。
また日本経済新聞が2021年1月に就活生を対象に「転職を前提として就活をするか」を調査したところ、「はい」と答えた人が39%に達しました。
出典:転職前提が4割「大手も安心できない」 就活生独自調査: 日本経済新聞
今の若手社会人は現職で働きつつも、スキルを得た後やチャンスがあれば、キャリアアップのために転職をする意向が強いようです。
一昔前は「新卒入社は夢の切符」。
年功序列制度が当たり前で、転職する度に前職よりも年収が減少することが多かったので、「転職イコール損をする」というネガティブなイメージが強かった時代もありました。
しかしながら今は、新卒入社はあくまでもキャリアのファーストステップ。「ある程度実績やキャリアを積んだら、さらなるスキルアップを目指すために転職する」―。転職はもはや当たり前にある人生のチャンスです。
ハイキャリアを臨むのであれば、転職は「企業への入社」がゴールではなく、「企業でどのような業務でどの程度の実績を残して自分のキャリアにするか」がゴールとなることでしょう。
ここからは、さらなるキャリアアップを目指すため転職活動をどのように進めていけばよいかを詳しく解説します。
ハイキャリアを目指すための転職方法
ハイキャリアを目指す20代に限ったことではありませんが、転職を検討したときにまず始めるのが、転職サイトまたは転職エージェントの登録です。
それぞれのサービスの特徴を比較してみると次のようになります。
転職サイト | 転職エージェント | |
求人数 | 転職エージェントと比べて多い | 転職サイトに比べると少ないが、非公開求人あり |
企業の検索 | 自ら探す | エージェントが求職者の実績や適性に応じて求人を紹介 |
転職活動 | 企業選定から選考まで全てイチから行う必要あり | 企業に通りやすい書類の書き方や面接対策をアドバイス してもらえる |
条件や相性の良い企業を探すには転職サイト、転職エージェント両方の登録が望ましいのですが、それぞれの特徴や違いを把握して、上手く活用しなければ希望する条件の求人案件を見逃すことにもなりかねません。働きながらの転職活動は多忙を極めることが多いものです。
希望する企業への転職を成功させるためにも、この二つの特徴や違いを確認しましょう。
転職サイトの特徴
「転職サイト」とはさまざまな企業の求人案件が掲載されているサイトのことです。さまざまな条件を組み合わせて自ら案件を探し直接応募できるので、自分のペースに合わせた転職活動ができるのがメリットです。
しかしながら、企業選定から選考まで全て自分1人で行わなければならず、現職の仕事との両立が大変になるというデメリットもあります。
サイトにもよりますが、多くの公開型求人が掲載されているため、ハイキャリアを目指す人にマッチした求人を見つけることが難しくなっているサイトもあります。
広く浅く、あらゆる求人情報を公開型で扱っている、と理解ください。
転職エージェントの特徴
転職エージェントとは、プロのエージェントが求職者のそれまでの経験を聞いた上で、求人情報を紹介してくれるサービスのことです。
上述した転職サイトには掲載されない非公開求人案件を持っていることも多く、転職エージェント経由でしか応募できないポジションもあります。
また、希望する企業へ転職者を推薦して、選考まで繋げてくれることもあります。
ただ転職エージェントも人間なので、相性が合う・合わないもあります。また自分の希望する条件とは違った企業ばかり紹介されて、うんざりしてしまうこともあるでしょう。良い求人案件を見つけるため、転職エージェントへの登録は1つではなく、2~3社登録しておくと良いでしょう。
転職サイト・転職エージェントの求人案件の違いと企業側の思惑
転職サイトと転職エージェントの違いは、エージェントや非公開求人の有無が挙げられますが、求人募集をする企業もこの二つの転職サービスを使い分けているということを知っておきましょう。
まず転職サイトの場合、企業は掲載料を支払って求人広告をサイト上に公開してもらいます。掲載費用や掲載期間などは転職サイトによって異なりますが、多くの場合掲載料以外の費用は必要ありません。
一度掲載すると多くの求職者の目に触れ、募集が集まるので企業側からすると一人当たりの採用コストが安く済みます。そのため転職サイトには、採用人数が多いポジションや、採用単価を抑えたい企業の求人案件が集まりやすくなります。
つまり、プレイヤー層などある程度の人数を募集するの求人が主で、マネジメント層などの幹部候補や専門性の高い職種など、募集人数が少ない求人の掲載は少ない傾向にあるのです。
一方、転職エージェントは採用が確定した時点で企業に支払が発生します。その額は採用人数1人あたり、その人の年収の約30~40%。決して安い金額ではありません。
そのため転職エージェントには、採用コストがかさんでもスキルや専門性の高い求職者を選定したい、将来の幹部候補を募集したいという企業の求人案件が集まりやすくなるのです。
また転職エージェントの求人案件の中には、競合企業に知られたくない新規事業のメンバー募集案件や、公開してしまうと応募が殺到し、人事担当者が対処しきれないといったような有名企業の求人案件もあります。
これらは非公開求人として扱われ、転職エージェントが企業の求める人材要件に当てはまる登録者を厳選し紹介することで、企業側が効率よく採用活動ができるようアシストしているのです。
転職エージェントにはこのような非公開求人が集まっており、その多くが企業にとって重要なポジションとなる人材の募集案件となっています。
ハイキャリアを目指すなら転職エージェントがおすすめ
将来のキャリアアップを目指す転職をしたいのであれば、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
中には、転職を機に「キャリアアップを目指したいけれども、数値化できる実績や専門性の高いスキルを持っていないからエージェントは難しいかもしれない」―と考える方もいるでしょう。
しかし自分ではキャリアが積めていないと思っていても、他人から見れば魅力的なキャリアを持っていることがあります。自分がハイキャリアクラスの求人案件を募集するべきか判断できないときは、転職エージェントに登録して、相談してみるといいでしょう。
また転職サイトのみだと非公開求人をチェックすることができないので、利用するのであれば、「転職サイト」・「転職エージェント」の2つを兼ね備えているサービスへの登録をおすすめします。
転職サイトでありながら、転職エージェントのサービスも利用できるサイトを後述させていただきますので、ぜひご覧ください。
ハイキャリアを目指すビジネスパーソンにおすすめの転職サイト
幅広い人材を募集する一般社員の転職であれば求人数の多い転職サイトを選ぶべきですが、ハイキャリアを目指すのであれば、求人数の多さだけでなく、非公開求人数やその他のサービスにも注目しましょう。
ここからは、ハイキャリアを目指す方におすすめの転職サイトを5つご紹介します。
ヘッドハンティング型を取り入れたサイトや転職エージェントのサービスも兼ね備えたサイトなどハイキャリアを目指す社員も活用できるサイトを集めましたので、ぜひご覧ください。
なお、.Careerにはハイクラスエージェントに特化した紹介記事も掲載しています。こちらも合わせてご覧ください。
CAREERCARVER
▼おすすめポイント
・会員登録したら基本的にスカウトを待つだけでOK
・担当コンサルタントを自ら選べる
・自ら求人案件を検索し直接応募することもできる
CAREERCARVERはリクルートが運営している、ハイクラス向けの転職サイトです。2021年8月時点で公開求人数が約73,800件となっており、年収800万円~2,000万円の求人が中心となっています。
CAREERCARVERは、ヘッドハンティングシステムを取り入れており、情報を登録したら、求職者の経歴・スキル・条件にマッチした求人を紹介してくれます。登録後はスカウトを待つだけなので、現職が忙しくなかなか転職活動に手が付けられないハイキャリア層のビジネスパーソンにおすすめです。
ただ業界によっては、転職者のスキルや条件が良くてもスカウトがなかなか届かないこともあるそうです。しかしCAREERCARVERには、求人検索機能があるので、スカウトを待たずに自ら企業を探すこともできます。
スカウトと検索、両方を組み合わせて転職活動を進めていきましょう。
IX転職
▼おすすめポイント
・大手企業からベンチャー企業まで幅広いハイクラス向け求人案件を用意
・短期間で会員数30,000人を突破した勢いのある転職サイト
IX転職は、パーソナルキャリアが運営するハイクラス向けの転職サイトです。パーソナルキャリアと言えば、第二新卒や一般社員向けの転職サイトdodaを運営している会社としても有名です。
IX転職は2019年3月にサービスが開始された新しい転職サイトですが、2020年7月には30,000人を突破した今、勢いのある転職サイトの一つです。
IX転職もCSREER CARVERと同じようにヘッドハンティングシステムを取り入れています。
公開求人数は非公開となっていますが、まだ新しいサイトのため他のハイクラス向け転職サイトに比べて若干少ないようです。
しかし日系大手・外資系からベンチャー企業まで幅広い求人を紹介しており、各業界に精通したヘッドハンターが求職者の転職を手厚くサポートします。
ただCAREER CARVERと違い、IX転職には求人検索機能がないため企業のスカウトが来なければ転職活動を進めることができないというデメリットがあります。
ビズリーチ
▼おすすめポイント
・ヘッドハンター数が他の転職サービスと比べて圧倒的に多い
・月額料金を支払うとビズリーチが厳選した優良な求人案件に応募できる
・年収1,000万円以上の求人案件も充実している
年収600万円以上のハイキャリア層に支持される転職サービスを掲げているビズリーチもヘッドハンティングシステムを採用している転職サイトです。
そして他の転職サイトと違い、ビズリーチではサイトの利用者課金制度があり、さらに支払額(ランク)に応じて使える機能を制限しているのが大きな特徴です。
月額料金 (税込) | 特徴 | |
スタンダード会員 | 無料 | 企業からのスカウトを待つだけ。 |
タレント会員 | 3,278円 | 年収1,000万円以下の求人に自ら応募できる。 一部のハイクラス専門ヘッドハンターへのキャリア相談が制限される。 |
ハイクラス会員 | 5,478円 | 年収1,000万円以上の求人に自ら応募でき、 ハイクラス専門のヘッドハンターにも相談可能。 |
表を見てもわかるように、自ら企業へ応募する為には求職者から有料会員になる必要があります。
それだけでなく、キャリア相談ができるヘッドハンターへの相談ができるのも有料会員のみの特典となっています。
randstad(ランスタッド)
▼おすすめポイント
・外資系企業に強みを持っている
・大幅な年収アップに成功した利用者が多い
・コンサルタントの質が良く利用者の満足度が高い
ランスタッドはオランダで設立された、世界トップクラスの外資系人材サービス会社が運営している転職サイトです。
ランスタッドの大きな特徴は、ハイキャリア層向けに【プロフェッショナル人材紹介】というサービスを展開していること。
プロフェッショナル人材紹介サービスでは、各業界に精通したコンサルタントが求職者の適性に合わせて、企業を紹介するだけでなく、転職後のキャリア形成までアドバイスをしてくれます。
さらにコンサルタントは専門性が高く、ランスタッドを利用した転職者の満足度も高いとされています。
公開求人数は少ないものの、非公開求人が充実しており、そのすべてがハイキャリアを対象としたものとなっているのもポイントです。
ただ他の転職サイトと比べると、求人数が少ないことと外資系企業の求人は充実しているものの、その他は少ないなど求人の種類に偏りがあることがデメリットとなっています。
エンワールド
▼おすすめポイント
・外資系企業や海外の企業の転職に強い
・アドバイザーのサポートが丁寧で利用者満足度94%
エンワールドはエン・ジャパンが運営する、外資系に強いハイキャリア層向けの転職サイトです。
転職サイトと転職エージェントの2つを兼ね備えたサイトで、アドバイザーのサポートが丁寧であることから利用者満足度94%と高い評価を得ています。
またエンワールドは、タイ・インドなど海外を含む4か国に事業所を構えており、グローバル企業やアジアの企業との繋がりも持っているのもポイントの1つです。
そのため、海外で働いてキャリアアップを目指したい方にもおすすめです。
一方で外資系やグローバル企業以外の求人が乏しく、他の転職サイトや転職エージェントと比べると求人案件が少ないという声もあるようです。
幅広く求人案件を見て、企業を探したい方は他の転職サイトも併用しながら使うといいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。さらなるキャリアアップを目指し、現職よりも大きなプロジェクトや責任を伴う業務に従事したい、【ハイキャリア】向けの求人に応募したいのであれば、転職サイトではなく、転職エージェントがおすすめです。
公開型求人も検索できたり、エージェントからのスカウトも受信できるサイトに登録すれば、効率よく転職活動が進められるでしょう。ハイキャリア向けの転職サイトは、世の中にいくつも存在しそれぞれにメリットやデメリットがあります。
さらに掲載されている求人案件の数や種類も違うので、1つの転職サイトに固執するのではなく、複数の転職サイトに登録し、さまざまな求人案件をチェックできるようにしておきましょう。
現職で働きながらの転職活動は多忙を極めます。自ら案件を探すのも悪くはないのですが、ハイキャリア向けの転職サイトで利用できる転職エージェントやスカウトシステムを活用し、アドバイザーやコンサルタントとともに転職活動を進めていきましょう。