転職活動をする時の強い味方、「転職エージェント」。面談を通じて自分の事を理解してもらった上で、自分にあった求人を紹介してくれる。そしてその求人は非公開型で一般には知られていないようなポジションの募集もある。履歴書の添削や面接のアドバイスまでしてくれるし、最終的には給与面の交渉もしてくれる。
転職エージェントを使うメリットはたくさんあり、忙しいビジネスパーソンが転職する上ではマストな手段。
・・・となるはずが、そうならない場合がある。という事で今回は、10人の転職エージェントに出会い、翻弄された経験がある30代転職経験者の体験談をお届けします。
転職エージェントとの出会い方
そもそも転職エージェントとはどのように出会うのだろうか?転職エージェントは数多存在し、誰もが知る大手人材会社や個人でやっているプロフェッショナルエージェントまで様々だ。
最も効率的な方法は転職サイトに登録することだろう。エージェントサイトではなく、エージェント機能がある転職サイトだ。
こうしたサイトに職務経歴書を書いてアップしておくと、あらゆるエージェント会社からメールが来る。メールが来る際に、「〇〇のような求人案件があります」と求人を持ってくる。
私は転職活動初期の頃、エージェントからくるメールに添付されている求人を見て興味がある求人だったら実際にエージェントに会ってみていた。
上記の通り、エージェント会社は無数に存在する。わざわざ一つ一つのエージェントサイトに登録するより手間が省けるので、ちゃんと職務経歴書を書いておくのが転職活動初期にはおすすめだ。メールが来たエージェントで興味があるエージェントには都合を調整して面談をセットしてもらうと良い。
転職エージェントを使うメリット
では、転職エージェントを使うメリットはどんな事があるのだろうか?
この記事の本題はデメリットだが、メリットもしっかりある。なので、まずは私が体験した中で感じたメリットをお知らせしたい。
どんどん求人を送ってきてくれる
まずはなんといっても求人をどんどん持ってきてくれるところだろう。これは転職エージェントの本領発揮と言える。最初の面談を経て、希望を伝えておくとどんどん求人を提供してくれるのだ。全然興味がない案件がきたら断ればいいだけの話なのだが、結構興味深い求人を送ってもらえる事も多い。
全然聞いた事がない会社でも話を聞いてみると「面白いな」と思えたり。自分で調べてみたり、その会社の面談を受けてみたりすると、興味が湧いてくる。
転職活動は、自分一人で進めているとどうしても守備範囲が狭くなってしまう。自分で探すことはしつつもプロの手を借りることで自分の可能性を広げる事ができるのではないかと思う。
企業の間に立ってくれる
これは正直良し悪しだが、転職エージェントが企業とのやりとりをしてくれるのもメリットの一つになるだろう。直接企業とやりとりせずに済むのは助かる事が多い。
面接の日程調整はどちらにしろ自分の時間の調整をしなくてはならないので、エージェントが間に立ってると私は煩わしかった。エージェントが間に入るとタイムラグが生じるし、行ったり来たり、と言うこともあった。面接日程調整だけなら、Webなどの面接予約フォームで都合の良い日時を選んで終わり、が良かったなと個人的には思う。
ただ面接のフィードバックや条件面の交渉などで企業との間に立ってくれるのは心強かった。何せこっちは素人なので、プロの出番だなという感じがした。特に条件交渉は、転職初心者にとって心理的ハードルが高いものだ。企業には直接言いづらくてもエージェントには言いやすかったりする。
書類審査を通してくれる
たまたまなのかもしれないが、エージェントを通していると書類は必ず合格していた。まあ、可能性が高い案件だけを紹介してくれているからなのかもしれないが、書類は当たり前のように通って、面接の日程調整にスムーズに入る案件ばかり。
ある意味、エージェントが初期スクリーニングを果たしているので、信頼されているエージェントが薦める応募者なら書類選考はパス、という形なのかもしれない。実態はわからない。
転職エージェントの失敗談
さて、ここからが本体験談のメイン、失敗談だ。上記の通り、転職エージェントにはメリットも多い。ぜひ使った方がいい。でも気をつけないといけないことも当然ある。これを読んでいただき、上手に使いこなしてくれると嬉しい。
バンバン求人を紹介してくる
これはさっきのメリットの裏返しだ。彼らからすると僕らは商品なので、とりあえず、こちらのキャリアに多少なりとも引っ掛かりがあれば案件を次々と紹介してくる。
ひどいエージェント会社だと、その会社の中で職務経歴書が他のエージェントに共有され、知らない人からガンガンとメールが来る事もあった。メールならまだしも、電話がかかってくることもある。 オフィスで仕事をしているときに転職エージェントからガンガン電話がかかってくるシチュエーションを想像してみてほしい。まああまあイライラする。
そしてそこで紹介される求人が魅力的ならともかく、そうではない場合も多い。特に直接会っていないエージェントからの求人にはこの傾向が強かった。
転職エージェントのビジネスモデルを考えるとこれは致し方ないことなのだと思う。でも、転職は僕たち求職者にとっては人生に大きな影響を与える一大イベントだ。もっとこちらのことを考えて欲しいし、「当たればラッキー」みたいなノリでとりあえず求人紹介をされると(しかも何度も)、正直悲しくなってくる。
とにかく口説きにかかる
これも同じロジックなのだが、彼らはとにかく自分たちを通して転職して欲しいのだ。だからこちらがあまり興味がない案件でもやたら説得してくる。
私は、複数名の転職エージェントにお世話になっていた。誰か一人と決めるのではなく、複数名にお願いした方がいい、というのは転職エージェントを使う際の基本的なポイントだ。
そしてある時、2社の案件が同時に進んでいた。それぞれ別々のエージェント経由の求人案件だ。その時、片方のエージェントから探りが入った。
「〇〇さん、今の転職活動ってどのような状況ですか?」
「実はもう1社、いいなと思っている会社があります。それは別のエージェントさんなんですけど」
「え、、、そうなんですね。差し支えなければいいなと思っている会社、どこですか?」
「えっと、△△という会社です」
「あー、、△△ですか。僕はその業界のことは結構詳しくて、実は△△の案件も以前扱ったことあるんですけど、正直微妙だと思いますよ」
・・・こんな会話があったことがある。一応話は聞いてみたが、彼曰く△△社は私には合わないらしい。そして本当かどうか知らないが社内のトラブル話も「ここだけの話ですけど」と教えてくれた。
そして、彼が担当している求人案件がいかに魅力的かを私に伝えてきた。「なかなかこんな求人はない」と言っていた。
彼の話してくれたことが本当なのかどうかはわからない。ひょっとしたら本当に私のことを考えてくれてのアドバイスだったのかもしれない。しかし私には、どうにも下心があるようにしか見えなかった。結局、私は彼のことが信用できなくなり、彼の勧めてきた求人は辞退して他のエージェントの求人案件を受けることにした。
エージェントにとって不利な情報は、企業に伝えていない
「転職する」というのは一大決意だと思う。特に初めての転職の時はなおさらだ。
私も初めての転職活動の時、転職活動は進めつつも転職するかどうか悩んでいたことがあった。当時在職中の会社で、大きなプロジェクトが新たに決まって少し仕事に前向きになっていたのだ。「今の会社で頑張るのもありかもしれない」そんなことも思っていた。
そしてある転職エージェントとの初回面談時、「転職に興味はあるが実は転職するかどうかもまだ決めていない」ということも話した。エージェントは「大丈夫です。まずはカジュアル面談でもいいので企業と話してみてください」と言ってきて、ある企業の求人を紹介してきた。知らない会社だったが話を聞くと魅力的な条件だった。
“カジュアル面談”という言葉の響で、私はその会社の話をカジュアルに聞ける機会だと思っていた。そのつもりで面談当日を迎えると、エージェントから「転職するか悩んでることは現時点では企業に言わない方がいい」と言われた。そういうものなのか、と思って面談に進む。すると面談というより面接に近い内容だった。対応してくれた企業の口ぶりからも、私がその会社を志望していると思われているようだった。
面接終了後、「まだ転職するとは決めてないとお伝えしたはずです。カジュアル面談だと思っていたら面接でした。話が違います」とエージェントに電話して文句を言った。
するとエージェントは、
「企業にとって、面談も採用活動の一環です。ただの会話をするために時間は作りません。厳しいことをお伝えするようですが、その辺りは緊張感を持って臨んでください」
と逆に軽く説教された。まあ、言っていることはわかる。ただ、そもそもの前提として私は転職活動を本格的にするかどうかも悩んでいたわけで、そのことは伏せたまま企業の選考に乗るのは根本が違うのでは、と思った。ただ、何しろこちらは転職初心者。勝手もわからず、エージェントに言われるがままになってしまった。
幸か不幸か、その企業の”面接”は通過し、その後もとんとん拍子で話が進んでいった。そして入社意思があるなら内定を出す、というところまで行った。ただ、その検討期間が1週間だった。しかし、私がまだ転職自体に悩んでいることは企業には伝えていなかった。
「1週間以内に入社を決めてほしい」とエージェントから電話で告げられ、「まだ転職するとは決めていない。もしするにしても今進んでいるプロジェクトはやり遂げたい。だから入社するにしても1年後になってしまう」と伝えると、
「転職とは人生を前に進めるためのものです。それなのに過去の仕事にこだわっていてどうするんですか」とまた説教を受けた。
さすがに呆れた。正論ではあるが、自分の売上を上げるために屁理屈を言っているようにしか見えなかった。私はその案件は辞退し、そのエージェントの話は二度と聞かないようにした。
まとめ
いかがだっただろうか。再三お伝えしてきたが、転職エージェントは転職活動ではぜひお世話になった方がいい。ただ、なかにはこうしたエージェントもいる。
自分の人生を前に進めるためのパートナーになってくれるエージェントなのかどうか、しっかり見極めて充実した転職活動を送っていただきたい。