オファー面談は転職において、内定後もしくは内定がほぼ確定している段階で実施される転職選考の最終段階です。オファー面談まで至れば、不採用になる可能性は低いといえます。(ただし志望者が辞退する場合を除く)
一方で、オファー面談は転職後の働き方や条件を決めるうえで重要なもの。そのため、内定がほぼ決まったからといって油断せず、しっかりと準備して望むことが大切です。
転職の最終段階までいかなければオファー面談を受ける機会はないため、転職未経験の場合はオファー面談がどのようなものかわからない方も多いでしょう。そこで今回の記事ではオファー面談の基本や想定される質問事項について紹介します。
オファー面談とは?
オファー面談では転職後のキャリアを形づくる上で企業にとっても、転職希望者にとっても大事なプロセスです。まずはオファー面談の基本を抑えておきましょう。
オファー面談の基本
オファー面談は最終面接の後におこなわれるケース、最終面接が実質的なオファー面談だったというケースがあります。
転職者のステータスも内定が出ている状態の場合と、内定が出る直前の場合があります。
いずれにしても企業側からは次のような説明があります。
- 転職者が入社後にどのような部署・業務につくのか
- 転職後のキャリアパスはどのようになっているのか
- 年収をはじめとした転職後の条件
なお、その場でオファーレター(内定通知書)を出す企業と、面談を経て後ほどレターを郵送する企業があります。ただし、いずれのケースでもオファー面談に至れば企業側から採用を見送ることはあまりありません。
志望者側も質問をする機会が与えられますが、この際質問内容を受けて合否に影響を与えることは基本的にありません。
したがってこのタイミングでは入社後の条件や働き方についてある程度自由に質問して差し支えありません(ただし、常識的に考えて不適切な質問は避けましょう)。
このタイミングで転職に際する不安・疑問は解消しましょう。
オファー面談の目的
ほぼ内定が決まっているのに企業が面談をおこなう目的は大きく次の3つです。
- 労働条件をすり合わせる
- 配属部署と条件を確認する
- 企業と志望者のミスマッチを解消しスムーズに入社を迎える
オファー面談では基本的に人事担当者などから契約期間、賃金、就業場所、就業時間、休日・休暇等の転職における詳しい条件の説明がなされます。
これらは転職後の働き方や年収水準を決める大事なポイントなので、不明点があれば遠慮なく質問しましょう。
年収の質問などは選考段階では躊躇してしまいがちですが、この段階では企業も志望者を採用したいと考えているので、安心して問い合わせて大丈夫です。
むしろ、認識相違がありのちのち転職を後悔する形となってはいけませんので、疑問点をしっかり解消しておくことをおすすめします。
契約上の条件のほか、入社後の配属や、配属先でどのような業務につくのかといった説明もあります。場合によっては将来のキャリアパス、どのような役割を期待されているかといったことも説明されます。
こちらも入社後に活躍するうえで大変重要なポイントなので、わからないところや不安なポイントは話してしまうとよいでしょう。
ここまで出たような条件面や入社後の働き方に関する認識相違や、ミスマッチを事前に解消しておくことが、企業にとってのオファー面談の重要な目的です。
企業と転職者がお互いに納得したうえで転職し、転職者が入社後にスムーズに新しい業務を進められるようになることを目的に、オファー面談は実施されます。
オファー面談で想定される質問事項
オファー面談では人事担当者や採用される部署のメンバーからの説明が中心となるケースが多いですが、時には志望者に質問が投げかけられるケースもあります。
質問に対する回答による内定がなくなるリスクはほとんどありません。
しかし、入社後にも関わりを持つ社員との会話であることから、良好な関係を築くためにも、基本的に想定される質問事項は事前に回答を簡単にまとめておくことをおすすめします。
志望理由や入社後にどのような仕事がしたいか
再確認の意味と、採用後のリソースの活用方法をより明確にするために、改めて志望理由や入社後の働き方のイメージを問われる場合は少なくありません。
入社後に不本意な仕事を任されたり、転職後のミスマッチに悩むことのないよう、自分の考えを的確に説明することをおすすめします。
特に希望する仕事内容については入社後に配属されるチームやプロジェクトに影響を及ぼす場合もあります。
自分が希望する仕事を任せてもらうためには、場当たり的に答えず、自分のスキルや知見を踏まえて的確に回答することが大切です。
想定しているキャリアプラン
特に日系企業では転職者でも長期的なキャリア形成を想定して転職者を採用します。
そのため、転職後の異動や昇進などのタイミングを検討するため、より将来のプランについて質問されるケースが少なくありません。
あらかじめキャリアプランを明確にしておくことで、当日スムーズに回答し、入社後のキャリアパスを順調に進められるようになるでしょう。
希望年収や現職の年収(まだ年収が打診されていない場合)
オファーレターを事後に送付するケースの場合は、現職年収や希望年収を改めて確認される場合があります。
まず、現職年収については正直に答えるしかありません。
希望年収については自由に答えることはできるものの、この段階に至るまでに、通常はエージェントなどに連絡していると思います。
その水準と異なる(特につり上げる)年収を答えると、混乱させてしまうので、確実に内定が欲しい場合にはエージェントに伝えた時と同じ水準を伝えましょう。
一方で、複数内定を得ていて、条件のいい方を選ぶ、というやり方をおこなう場合には希望年収をつり上げることも可能です。
活用する福利厚生に関する確認
福利厚生が手厚い企業では、入社後にどの福利厚生が適用されるのか明らかにするために、この段階で生活実態に関する質問がなされます。
ややプライベートな内容を答えざるを得ないケースもありますが、手当など処遇面に影響があるためにやむを得ず確認しているものなので、差し支えがなければ正直に回答しておくことをおすすめします。
プライバシーが重視される現代では無回答も可ですが、手当の受給が遅れるリスクがあることは認識しておきましょう。
- 持ち家か賃貸か・・・住宅手当や家賃補助の算出のため
- 結婚をしているか・・・扶養手当や家族手当の算出のため
- 子供の有無・・・上記に同じ
オファー面談で志望者が確認すべき事項
オファー面談は合否に影響するリスクがとても小さいことから、志望者からもこれまでより転職後の処遇について自由に確認することができる場です。
この段階で転職後に関する疑問点や不安な点をなくし、納得のいく形で転職を実行しましょう。
たとえば次のようなポイントでわからない箇所がある場合は、オファー面談の場で確認しておくのがおすすめです。
選考過程で評価されたポイント
選考過程の評価はなかなか詳細には明らかにしてもらえませんが、オファー面談の段階ではある程度教えてもらえるケースもあります。
評価されたポイントを認識することで、自分の中の強みや企業が好む人材の傾向を掴み取ることが可能になります。
これらは転職後に円滑にコミュニケーションをとり、また業務を進めるのに役立ちます。
想定される業務内容
ここまで紹介した通り、業務内容については基本的に企業側から説明がありますが、イメージが充分につかない場合や自分の期待とミスマッチがある場合にはここでディスカッションしておくとよいでしょう。
ミスマッチの原因になりがちなのが、企業側からは転職後のポジションの組織における位置付けや役割といった広い視点での説明が多くなる一方で、志望者はより働く側の視点に立ったポイントが知りたいというケースです。
普段のワークロードや具体的な業務プロセス、プロジェクトの進め方などについてはこちらから問い合わせなければ教えてもらえない可能性が考えられます。
こういった点について充分なすり合わせを経ずに転職することは、転職後のミスマッチの原因にもなります。企業側の説明が自分の知りたいこととずれがある場合には、遠慮せずに確認しましょう。
転勤や海外出張や駐在の有無
転勤や海外出張・駐在については業務内容と本来一体なのですが、仕事ぶりや働き方に意識がいくあまり、これらの詳細な説明が漏れる場合あります。
しかし、転勤が多い、海外出張が多いというのは、パスポートなど事前準備が必要であったり、転居をしやすいように身軽な状態にしておく必要があったりと、自身の生活に影響を及ぼすポイントなので、しっかりと確認しておくのがおすすめです。
家族がいる場合などには転勤による影響も大きくなるため、なお一層のこと確認しておきましょう。
キャリアパス
キャリアパスについても企業側から触れられることが少なくありませんが、より具体的に確認しておいた方がよいケースが少なくありません。
たとえば、何年程度でプロモーションするか、ジョブローテーションのようなものはあるのか、異動の頻度はどのくらいか、など、自分が転職したのちに辿ると想定されるキャリアパスを確認しておきましょう。
経済的な条件面
オファーを出す以上、年収については基本的に提示されますが、年収の内訳については説明が不足しているケースも少なくありません。
たとえば基本給・残業代と賞与の内訳や賞与はインセンティブ込みなのか、アップサイドがさらに想定されるものなのか、賞与は年何回支給で、入社年は満額支給されるのか、など提示年収だけでは読み取れないポイントがたくさんありますので、必ず確認しておきましょう。
特に注意しておきたいのは賞与で、多くの場合賞与は在籍期間の月割りであったり、一定期間在籍していないとその年はもらえなかったりというケースがあります。
一方で、提示年収は一般的に賞与を満額支給した想定で出されるため、入社年の年収が提示年収よりも低くなる場合もあります。
特に証券や商社、投資銀行など賞与の金額が大きい業種では特にしっかりと確認しておくのがおすすめです。
オファー面談は転職後のキャリアを描くための重要なプロセス
オファー面談までたどり着けば、不採用に至るリスクはかなり低いことから、面談をうまく乗り切ることではなく「転職後のミスマッチを避ける」ことを強く意識しましょう。
企業側も採用意欲が高いからこそオファー面談をおこなうのであり、基本的には採用条件や働き方などについて丁寧に説明してくれるでしょう。
それでも不明点や不安な点がある場合は、躊躇せずに質問することが大切です。
相手に失礼な態度や質問をするのは避ける必要がありますが、よほどのことがない限り質問内容が合否に影響を与えることはありませんので、疑問や不安を解消し入社後のミスマッチをなくすことを最優先に対応しましょう。
オファー面談までいけば、転職の実現はすぐそこです。
転職の最終局面でトラブルにならないように、今回の記事を参考に適切に対応しましょう。