同年代の他の人がどの程度の年収を稼いでいるのか、また、同年代のどの職種の平均年収が高いのか、気になる方は多いと思います。
この記事では20代・30代・40代の平均年収を年齢別や性別、職種別などさまざまな角度で解説します。自分の年収が同年代の中で高いか、低いかを判断する上での参考としてください。
20代、30代、40代にかけて平均年収は年齢と共に高くなる
今回は、主に大手転職エージェントのDodaが2020年に集計したデータをもとに紹介していきます。まずは、20代、30代、40代の平均年収を並べると次のようになります。
年代 | 全体 | 男性 | 女性 |
20代 | 348万円 | 371万円 | 321万円 |
30代 | 444万円 | 484万円 | 377万円 |
40代 | 510万円 | 573万円 | 403万円 |
全体的な傾向として、年齢と共に平均年収が上がっていくのが見てとれます。日本ではまだまだ年功序列の給与体系が残る企業は多数。また、仮に実力主義・成果主義の給与体系だとしても、年齢が高いほうが自身の経験を活かして高いパフォーマンスをあげられるのが一般的であるため、年齢と共に平均年収は上がる傾向は変わらないのです。
また、女性より男性の方が、平均年収が高いのもすべての年齢でみられる特徴。かつ、それぞれの男女差を見てみると20代は50万円、30代は97万円、40代は170万円と年齢と共に平均年収の格差は拡大しています。女性の社会進出は進んだとはいえ、結婚・出産などのタイミングでキャリアが中断する女性はいまだに多く、男女格差が残っている状況が伺えます。
参考:https://doda.jp/guide/heikin/age/
20代の日本の平均年収
20代の平均年収は、全体の平均は348万円で、男性のみの平均が371万円、女性が321万円です。
続いて20代の年齢別の平均年収は次の通りです。
年齢 | 全体 | 男性 | 女性 |
20歳 | 279万円 | 309万円 | 256万円 |
21歳 | 280万円 | 305万円 | 259万円 |
22歳 | 283万円 | 295万円 | 272万円 |
23歳 | 294万円 | 309万円 | 281万円 |
24歳 | 323万円 | 340万円 | 306万円 |
25歳 | 346万円 | 365万円 | 326万円 |
26歳 | 365万円 | 385万円 | 340万円 |
27歳 | 382万円 | 407万円 | 350万円 |
28歳 | 394万円 | 421万円 | 358万円 |
29歳 | 404万円 | 432万円 | 363万円 |
20~23歳までは平均年収の伸びが小さくなっています。23歳以降は大学新卒のキャリアがスタートするため、平均年収の伸びが加速します。また、性別でみると男性の方が女性より年齢が上がることによる平均年収の上昇幅が大きい傾向にあることがわかります。
20代年収分布
Dodaでは年収の分布も調査していますので、あわせて紹介します。20代の場合は約70%の方が400万円以下の年収となっています。一方で、500万円以上の方が10%、わずか0.2%ですが、20代のうちに1,000万円を超える方も。サラリーマンのトップキャリアの一つである外資系金融などに見られます。
20代業種別平均年収
金融 | 372万円 |
メーカー | 372万円 |
IT/通信 | 370万円 |
建設/プラント/不動産 | 367万円 |
総合商社 | 367万円 |
インターネット/広告/メディア | 352万円 |
専門商社 | 347万円 |
メディカル | 346万円 |
サービス | 326万円 |
小売/外食 | 308万円 |
20代の業種別の平均年収を見てみると、実は、業種別ではあまり差がないことがわかります。日本では一部の専門職などを除くと、新卒の初任給が比較的横並びの傾向であるため、キャリアの浅い20代では差がつきにくいようです。
20代職種別平均年収
専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人) | 497万円 |
企画/管理系 | 395万円 |
技術系(電気/電子/機械) | 381万円 |
営業系 | 378万円 |
技術系(IT/通信) | 372万円 |
技術系(建築/土木) | 372万円 |
技術系(メディカル/化学/食品) | 351万円 |
金融系専門職 | 343万円 |
クリエイティブ系 | 320万円 |
事務/アシスタント系 | 303万円 |
販売/サービス系 | 298万円 |
続いて20代の職種別の平均年収を見てみますと、こちらの方は比較的ばらつきが大きいことがわかります。
専門職にはコンサルファームや弁護士事務所・監査法人などが含まれますが、いずれも新卒就活では難関職種であり、初任給から高めの給与が設定されるケースが多いです。またその後の年収カーブも多職種より上昇幅が大きい傾向にあるため、職種別で見たときに平均年収が高くなります。
また、企画・管理系については、大企業を中心に大卒の総合職の人材が配置されるケースが多いです。具体的な給与体系は企業によりさまざまではありますが、総合職の方が高年収になりやすい給与体系となっている企業が多いため、職種別の平均年収が高い傾向にあると考えられます。
参考:https://doda.jp/guide/heikin/age/
30代の日本の平均年収
続いて、30代の平均年収は444万円です。男性が484万円、女性が377万円となっています。年齢別の平均は次の通りです。
年齢 | 全体 | 男性 | 女性 |
30歳 | 414万円 | 446万円 | 365万円 |
31歳 | 421万円 | 453万円 | 366万円 |
32歳 | 428万円 | 463万円 | 369万円 |
33歳 | 439万円 | 477万円 | 372万円 |
34歳 | 448万円 | 488万円 | 380万円 |
35歳 | 459万円 | 501万円 | 383万円 |
36歳 | 468万円 | 513万円 | 391万円 |
37歳 | 475万円 | 522万円 | 392万円 |
38歳 | 474万円 | 522万円 | 390万円 |
39歳 | 485万円 | 536万円 | 394万円 |
30代を通じて平均年収は伸びていきますが、20代と比較すると年収の伸びは緩やかになります。男性の方が年収の上昇幅が大きく、35歳には平均500万円に達します。
女性の場合は結婚・出産などのタイミングの休業や仕事のセーブなどにより年収が上がりにくい方もいるため、平均でみると30代を通じて30万円弱しか平均年収が上がらないという結果になっています。
30代年収分布
30代になると年収の個人差が大きくなってくるのも特徴。依然として40%強が年収400万円以下に留まる一方、400-600万円の方が30%程度。また、700万円以上の高年収帯に到達する方も10%弱います。
専門職や大企業の総合職の場合30歳前後から昇進などに伴い年収の上昇幅が大きくなるケースが多いです。また、外資系企業の場合は30歳で年収1,000万円を超えるという方も珍しくありません。こうした層が30代の平均年収を底上げするとともに、同年代における年収格差を拡大させているものと見られます。
30代業種別平均年収
金融 | 532万円 |
総合商社 | 500万円 |
IT/通信 | 498万円 |
メーカー | 477万円 |
建設/プラント/不動産 | 453万円 |
インターネット/広告/メディア | 446万円 |
メディカル | 442万円 |
専門商社 | 437万円 |
サービス | 403万円 |
小売/外食 | 384万円 |
業種別の格差も20代と比較すると大きくなります。金融や総合商社など、一般的に高年収なイメージを持たれがちな業種が上位にランクイン。30代以降になると、高年収を目指すうえで業種選びが大事になるようです。
30代職種別平均年収
専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人) | 652万円 |
企画/管理系 | 523万円 |
技術系(IT/通信) | 511万円 |
営業系 | 500万円 |
金融系専門職 | 498万円 |
技術系(電気/電子/機械) | 496万円 |
技術系(建築/土木) | 459万円 |
技術系(メディカル/化学/食品) | 442万円 |
クリエイティブ系 | 412万円 |
販売/サービス系 | 362万円 |
事務/アシスタント系 | 346万円 |
職種別では引き続き士業などを含む専門職が圧倒。平均では652万円ですが、コンサルファームや公認会計士が属する監査法人などでは30歳で1,000万円をゆうに超える年収を得るケースも珍しくありません。
その他、企画・管理系職種は引き続き平均年収が高くなっています。先にも紹介しましたが、同職種に多く配属される総合職の年収上昇が同職種の平均年収を底上げしています。
また、3番手の技術系(IT/通信)はいわゆるシステムエンジニアなどが該当しますが、高い専門性を有している方が実力次第で高年収を獲得しやすい職種であるため、平均を底上げしているものと見られます。
参考:https://doda.jp/guide/heikin/age/
40代の日本の平均年収
40代の全体の平均年収は510万円で、男性は573万円、女性は403万円となっています。男女差は170万円と、30代以上に拡大します。年齢別の平均は次の通りです。
年齢 | 全体 | 男性 | 女性 |
40歳 | 492万円 | 549万円 | 399万円 |
41歳 | 495万円 | 552万円 | 401万円 |
42歳 | 506万円 | 567万円 | 402万円 |
43歳 | 503万円 | 567万円 | 397万円 |
44歳 | 510万円 | 571万円 | 406万円 |
45歳 | 512万円 | 575万円 | 405万円 |
46歳 | 516万円 | 581万円 | 403万円 |
47歳 | 518万円 | 582万円 | 406万円 |
48歳 | 527万円 | 593万円 | 403万円 |
49歳 | 549万円 | 615万円 | 415万円 |
引き続き年齢と共に平均年収の伸びは続きますが、30歳から39歳で約70万円の差があった一方、40歳から49歳では57万円にとどまっており、上昇ペースは緩やかになります。
企業にもよりますが、40代は出世すれば年収上昇が続く一方で、出世コースからはずれた社員は徐々に年収の伸びが緩やかになる時期と言えるでしょう。
また、女性の平均年収の伸びは40代を通じてわずか16万円となっております。子育てがひと段落した後の復職などでキャリアを再開する場合も多いですが、その場合、仕事を継続していた層と比較して年収は低い傾向にあり、こうしたケースが平均年収を引き下げてしまっていると見られます。
40代年収分布
40代になると年収のばらつきはさらに大きくなります。依然として400万円以下の層が全体の33%を占める一方で、400から600万円の層が36%程度に。また、700万円以上の層が20%近く、1000万円以上の層が約5%おり、順調に出世するなどして高年収帯に到達している方も増えてきます。
40代業種別平均年収
IT/通信 | 599万円 |
金融 | 581万円 |
メーカー | 553万円 |
メディカル | 540万円 |
総合商社 | 538万円 |
専門商社 | 522万円 |
インターネット/広告/メディア | 518万円 |
建設/プラント/不動産 | 501万円 |
小売/外食 | 449万円 |
サービス | 443万円 |
業種でみるとIT/通信の平均年収が、20代、30代では業種別でトップだった金融を上回ります。IT/通信は30代から40代で+101万円と大きく平均年収をのばしているのも特徴です。金融は銀行・証券などで年収のピークとなる年齢が比較的早い傾向にあり、早ければ40代中盤から出向などにより年収が下がり始めるケースもあります。
IT/通信は企業によってばらつきが大きく、SIerなどの場合はプロジェクトマネジメントなどの能力が高い場合などに、実力次第で高収入を獲得する方が一定数います。一方で、いわゆる日系大企業では年齢と共に着実な年収上昇が見込めます。それぞれが平均年収を底上げし、金融を追い抜いたものと考えられます。
また、メーカーは30代では4位にランクダウンしていましたが、40代では3位に上昇。メーカーは各年齢の年収の上昇幅は小さい一方、年齢と共に着実に年収が上がるケースが多いため、40代にかけて上位の業種に追いつく傾向にあるのです。
40代職種別平均年収
専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人) | 705万円 |
企画/管理系 | 631万円 |
技術系(IT/通信) | 615万円 |
営業系 | 582万円 |
技術系(電気/電子/機械) | 569万円 |
金融系専門職 | 555万円 |
技術系(建築/土木) | 516万円 |
技術系(メディカル/化学/食品) | 504万円 |
クリエイティブ系 | 468万円 |
販売/サービス系 | 405万円 |
事務/アシスタント系 | 369万円 |
最後に職種別をみてみると、上位3職種の顔ぶれは変わりませんが、上下の格差がより大きくなっています。3位の技術系(IT/通信)までは平均で600万円を突破。これらの職種では、大手企業や外資系企業などを中心に40代で1,000万円をゆうに超える方も珍しくありません。
一方、最下位の事務/アシスタントでは30代と比較した時の平均年収の差はわずか+23万円に留まります。職種選びによって30代から40代にかけて年収の伸びに大きな差が生まれることがわかります。
参考:https://doda.jp/guide/heikin/age/
平均年収よりも高い年収を目指すにはどうすべきか?
ここまで20代から40代の平均年収を紹介してきましたが、とくにハイクラスのビジネスパーソンを目指す方であれば「平均年収よりもできるだけ多くの年収を稼ぎたい」と考えている方は多いでしょう。今回の結果も参考にしながら、同年代の平均年収を超えるための2つの方法を紹介します。
年収が高い職種選びで20代から差をつける
若手の時期から年収に差をつける場合は業種選びより職種選びが大切。20代は業種でみるとどこも横並びに近い初任給で始まり、その後も差がつきにくい一方で、専門職や大手企業の総合職では早期から高待遇となりがちであるためです。
公認会計士・弁護士などの国家資格があればより有利ですが、これらの資格取得が難しい場合は、コンサルファームや大企業の総合職といった難関就職先にチャレンジするのが、若いうちから年収を上げる近道となります。
金融・IT系企業への就職により30代以降で差をつける
業種による平均年収の格差は20代ではあまり大きくありませんが、年代が上がると格差が拡大していきます。30代から40代にかけては金融・IT/通信といった業種の平均年収が高くなるのです。
総合職や専門職といった難関先への就職が難しい方は、これらの業種へ就職・転職するのも手です。20代のころはあまり差がつきませんが、年収格差が広がり始める30代以降に優位に立てるでしょう。
20代、30代、40代は年齢と共に年収の格差が広がることに注意
20代、30代、40代と年齢とともに平均年収が上がっていくことは、多くの人がイメージしていると思いますが、ただ平均年収が上がるだけでなく、徐々に上下の格差が広がっていくことにも注意が必要です。
20代のころに周りと同程度だからといって油断していると、徐々に周りとの差が広がり、いつの間にか取り返しのつかない年収格差になるかもしれません。
平均年収を上回る高年収を目指したい方は、若いうちから油断せずに自身のキャリアプランを立て、業種選び・職種選びなどを戦略的に進めることが大切です。